貯金が1000万円以上ある人の割合は?超えたらするべきこともFPが解説
コツコツと貯金や資産形成に取り組んできた結果、貯金が1,000万円を超えたという方もいるのではないでしょうか。
貯金1,000万円を超えた場合、そのまま銀行口座に貯金し続けるのはおすすめできません。
貯金1,000万円を銀行預金に預けていると、ペイオフが適用されない、インフレリスクに対応できない、などのデメリットが発生します。。
本記事では、貯金1,000万円を超えた方に向けて、これから何を検討するべきかや、具体的な対応策を紹介します。
「貯金1,000万円を銀行預金にしておくのは不安」「貯金1,000万円を超えたら資産運用を検討したい」と考えている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
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目次
貯金1,000万円を超えている人はどのくらいいる?
まずは、そもそも貯金1,000万円を超えている人はどのくらいいるのかについて確認していきましょう。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」の調査結果を元に解説していきます。
【年齢別】1,000万円以上保有している人の割合
下記の表は、金融資産1,000万円以上保有している世帯がどのくらいいるかを世帯主の年齢別にまとめたものです。
金融資産を1,000万円以上保有している世帯の割合 | 平均値 | 中央値 | |
20歳代 | 2.70% | 185万円 | 20万円 |
30歳代 | 15.40% | 515万円 | 150万円 |
40歳代 | 21.10% | 785万円 | 200万円 |
50歳代 | 30.10% | 1,199万円 | 260万円 |
60歳代 | 40.50% | 1,689万円 | 552万円 |
70歳代 | 42.60% | 1,755万円 | 650万円 |
全体 | 28.40% | 1,150万円 | 280万円 |
出典:金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]各種分類別データ(令和4年)
表からは、世帯主の年齢が上がるほど、金融資産1,000万円以上保有している人の割合も高くなることがわかります。
20代〜40代の若い世代では、金融資産1,000万円以上保有している世帯は限定的で、金融資産の平均値および中央値も1,000万円には届いていません。
世帯主の年齢が50歳代を超えると、金融資産の平均値が1,000万円を超えてきます。
金融資産を1,000万円以上保有している世帯の割合も、50歳代で約3割、60〜70歳代で約4割と徐々に増加しています。
【年収別】1,000万円以上保有している人の割合
続いて、年収別に金融資産1,000万円以上保有している世帯の割合を見ていきましょう。
金融資産を1,000万円以上保有している世帯の割合 | 平均値 | 中央値 | |
収入なし | 6.60% | 260万円 | 0円 |
300万円未満 | 17.30% | 650万円 | 50万円 |
300~500万円未満 | 27.30% | 974万円 | 300万円 |
500~750万円未満 | 34.20% | 1,319万円 | 500万円 |
750~1,000万円未満 | 47.90% | 1,873万円 | 967万円 |
1,000~1,200万円未満 | 53.70% | 2,687万円 | 1,063万円 |
1,200万円以上 | 61.00% | 3,595万円 | 1,800万円 |
全体 | 28.40% | 1,150万円 | 280万円 |
出典:金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]各種分類別データ(令和4年)
年収が上がるほど、金融資産1,000万円以上保有している世帯の割合も高くなります。
1,000万円以上保有している世帯の割合は、年収500〜750万円未満の世帯では3割強にとどまりますが、年収750〜1,000万円未満の世帯では5割弱と一気に増加しています。
さらに、年収500〜750万円未満の世帯と年収750〜1,000万円未満の世帯では、金融資産の中央値も倍近く増えており、年収750万円を超えるかどうかで金融資産の貯まり方が変わってくるといえそうです。
貯金1,000万円を超えたら安心?
年代別・年収別の資産状況が分かったところで、貯金1,000万円を超えている人が老後の生活についてどのように考えているかをチェックしてみましょう。
以下は、老後の生活について「それほど心配していない」「多少心配である」「非常に心配である」の3つのどれに近いかを集計した表です。
老後の生活についての考え方(金融資産保有額別)
金融資産保有額 | それほど心配していない | 多少心配である | 非常に心配である |
1,000〜1,500万円未満 | 25.10% | 48.70% | 26.30% |
1,500〜2,000万円未満 | 23.60% | 49.40% | 27.00% |
2,000〜3,000万円未満 | 36.40% | 48.00% | 15.60% |
3,000万円以上 | 51.20% | 38.70% | 10.10% |
出典:金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯]設問別クロス集計(令和4年)
貯金1,000万円を超えていても、「それほど心配していない」と回答した人の割合は25%程度に留まり、老後の生活を不安に感じている人が多いことがわかります。
次に、貯金1,000万円を超えている人が今後どのように金融商品を保有したいと考えているかについても確認していきます。
以下は、今後の金融商品の保有希望について金融資産保有額別にまとめた表です。
今後の金融商品の保有希望(金融資産保有額別)※複数選択
金融資産保有額 | 預貯金 | 保険商品 | 債券 | 株式 | 株式投資信託 | 公社債投資信託 | 外貨建て金融商品 | 不動産投資信託 | 保有希望はない |
1,000〜1,500万円未満 | 55.70% | 22.60% | 5.50% | 34.00% | 25.80% | 4.60% | 7.50% | 4.30% | 16.60% |
1,500〜2,000万円未満 | 51.40% | 23.90% | 7.80% | 37.10% | 25.10% | 3.10% | 8.90% | 3.50% | 19.30% |
2,000〜3,000万円未満 | 48.90% | 19.10% | 12.20% | 32.40% | 21.30% | 4.80% | 8.20% | 7.10% | 20.50% |
3,000万円以上 | 39.00% | 15.50% | 12.70% | 42.60% | 26.40% | 3.90% | 11.60% | 6.80% | 23.10% |
出典:金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯]設問別クロス集計(令和4年)
金融資産1,000万円〜1,500万円未満の世帯では、「預貯金」「株式」「株式投資信託」の順で保有を希望していることがわかります。
貯金1,000万円を超えても安心、というわけではなく、今後も金融商品などでの運用の必要性を感じている人が多いようです。
貯金1,000万円を銀行に預けておくだけはNG!
貯金1,000万円を達成した場合、お金の置き場を見直してみましょう。
銀行に預けっぱなし、という方は注意が必要です。
ここでは、貯金1,000万円を銀行に預けておくデメリットについて解説します。
銀行預金ではインフレリスクに対応できない
「銀行預金は安全」と思っている方は多いですが、実は銀行預金はインフレに弱いという特徴があります。インフレとは、インフレーションの略で物価が上昇することを指します。
現在、日本ではインフレが進んでおり、身の回りのものの物価上昇を感じている方も多いでしょう。実際に、2023年12月分の消費者物価指数(総合指数)は前年同月比2.6%の上昇となっており、1年間で物価が2.6%上昇したことを示しています。
これに対して、日本の普通預金金利は0.001%程度、定期預金でも0.002%〜0.01%です。
この預金金利では現在のインフレに対応できないため、銀行に預けているだけでは相対的に資産が目減りしてしまうこととなります。
今後も、少子高齢化による人件費の高騰やエネルギー価格の高騰、為替の影響などによってインフレが進む可能性は高く、インフレリスクに対応するためには効率よくお金を増やせる方法についても検討する必要があるでしょう。
出典:総務省統計局 2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)12月分(2024年1月19日公表)
元本1,000万円を超えるとペイオフが適用されない
銀行預金は元本が保証される安全性の高い金融商品ですが、預金のすべてがどのような場合も守られるわけではありません。貯金1,000万円を超えるとペイオフが適用されない点に注意しましょう。
ペイオフとは、金融機関が破綻した際に、預金者一人当たり元本1,000万円までとその利息が保証されるという制度です。
つまり、元本1,000万円を超えた場合は、ペイオフによる保護対象外となるため、元本毀損のリスクが生じます。
使って良い資金と貯めるべき資金が混同する
貯金を一つの口座にまとめて貯めておくと「使う予定のあるお金」「貯めておくお金」に分けて管理するのが難しくなるというリスクもあります。
なんとなく毎月の収入から余った分を貯めておく、という考えではお金が貯まりにくいだけでなく、緊急時にお金が足りなくなってしまう可能性もあるでしょう。
突然の支出が重なったり、転職や業績悪化によって収入が減ったりすると、一気に家計が悪化してしまうリスクが生じます。
使って良い資金と貯めるべき資金に分けるためにも、預貯金にまとめて置いておく以外の方法を検討してみましょう。
貯金1,000万円を超えたらするべきこと
貯金1,000万円を超えたら、具体的にどのようにお金を管理すべきでしょうか。
以下で、貯金1,000万円を管理するポイントを紹介します。
お金の色分けをする
まずは、今あるお金を「日々の生活に必要なお金」「使い道が決まっているお金」「当面使う予定のないお金」に分類しましょう。
「日々の生活に必要なお金」は、生活費や突然の出費、病気や介護に備えるお金などを指します。
「使い道が決まっているお金」は、教育費や住宅購入資金、車・家電の買い替え費用など数年以内に使う予定のあるお金です。
現在の金融資産から上記の二つのお金を除いた部分が「当面使う予定のないお金」となります。
当面使う予定のないお金に関しては、ただ銀行預金に置いておくのではなく「増やす」ことを意識してみましょう。
預金口座を分ける
ペイオフ対策のためには、複数の金融機関に分けてお金を貯めるのが有効です。
夫婦それぞれで600万円ずつ預金をしている場合など、名義が分かれていれば預金者一人当たり1,000万円まで保護されます。
ただし、家族の名義を借りただけの預金は他人名義預金として保護の対象外となるため注意しましょう。
また、証券会社の口座に資産を預けておくのも、ペイオフ対策に有効です。
証券会社には分別管理が義務付けられているため、証券会社が破綻した場合も証券口座の資金は守られます。
お金を使う時期・目的に合わせた資産運用を行う
今あるお金を色分けしたら、それぞれのお金の使うタイミングや目的に合わせた運用方法を検討しましょう。
日々の生活に必要なお金や緊急事態に備えるためのお金は、すぐに引き出せる預貯金にしておくのが適しています。
数年後に使う予定のあるお金の場合は、使うタイミングで現金化できるように債券や定期預金、保険などある程度引き出しやすい形での運用が良いでしょう。
当面使う予定のないお金は、NISAやiDeCoなどを活用して長期投資を行うのがおすすめです。具体的な資産運用方法については、以下で詳しく紹介します。
貯金1,000万円を超えた人におすすめの資産運用方法
貯金1,000万円を超えた人は、以下のような方法で資産運用を始めるのがおすすめです。
- ・NISA
- ・iDeCo(個人型確定拠出年金)
- ・個人向け国債
- ・貯蓄型保険
NISA
NISAは、株式や投資信託などの運用益を非課税で受け取れる制度です。
2024年から、非課税枠が拡大したことや、非課税保有期間が無期限化したことで、これまで以上に使い勝手の良い制度となりました。
成長投資枠とつみたて投資枠の併用も可能になったため、運用目的に合わせて投資枠を使い分けられます。
例えば、「なるべくリスクを抑えつつコツコツ資産を増やしたい」「投資初心者でどんな銘柄に投資をしたらよいかわからない」と考える方は、つみたて投資枠での継続投資がおすすめです。
一方、「株主優待や配当を楽しみたい」「投資に慣れてきたから銘柄選びにも挑戦したい」という方なら、成長投資枠での個別株投資も検討してみましょう。
NISAは資金の引き出しに制限がないため、お金が必要となったタイミングで売却して引き出せるというメリットがあります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、公的年金を補完する目的で加入する私的年金制度の一つです。
掛金の拠出・運用・受取時にそれぞれ非課税メリットを享受できるため、なるべく税金の負担を抑えたいという方に適しています。
税制上の優遇が大きい制度ですが、原則60歳まで資金を引き出せないことや、職業等によって掛金に上限が定められている点に注意が必要です。
所得が多くなるべく税負担を抑えたいという方や、老後資金をしっかりと確保したいという方におすすめの制度です。
個人向け国債
個人向け国債は、国が元本や利息の支払いを保証している債券です。
国が発行しているため、元本割れがなく安全性の高い金融商品といえます。
「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3種類で、固定5年と固定3年は満期まで利率が一定ですが、変動10年は半年ごとに利率が見直されます。
ただし、年率0.05%の最低金利保証があるため、一般的な銀行預金よりは高い利回りを期待できるでしょう。
ちなみに、2024年2月募集の個人向け国債の募集条件は下記のとおりです。
変動10年 | 初回の適用年率0.49%(税引前) |
固定5年 | 年率0.25%(税引前) |
固定3年 | 年率0.05%(税引前) |
出典:財務省 個人向け国債
貯蓄型保険
貯蓄型保険は、万一の事態に備えながら貯蓄もできる保険の総称です。
終身保険や養老保険、学資保険、個人年金保険などが当てはまります。
満期時や解約時にお金を受け取れるため、子供の教育資金の準備や老後資金の準備に適しています。
万が一の際の保障機能に加えて、将来に向けた貯蓄機能を有する分、同じ保障内容の掛け捨て保険と比べると、保険料は割高になりやすい点に注意しましょう。
まとめ:貯金1,000万円を超えたらFPに相談してみよう
貯金1,000万円を超えたら、まずはお金の色分けをしてみましょう。
将来のライフプランに合わせてお金を分類した上で、余剰資金については資産運用を検討するのがおすすめです。
投資初心者の場合はNISAやiDeCoを活用して、長期目線で資産運用に取り組むことで、将来に向けて効率よく資産形成が図れます。
ただし、理想とするライフプランや許容できるリスク、性格、年齢など個々の状況によって適した運用方法や運用商品は異なります。
最も重要視すべきは、自分のライフプランに適した運用方針を立てて、資産運用に取り組むことです。
自分のライフプランを実現するための方法や、自分に合った資産運用の方法を知りたい方は、FPへの相談がおすすめです。
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